映像技術を専門とする馬場先生に、担当予定の授業やご自身の研究内容等についてお話を伺いました。

どんな授業を担当される予定ですか?

メディア技法入門

「メディア技法入門」は映像製作の入り口の授業です。機材やソフトウェアの基本的な使用方法を修得してもらいます。さまざまな素材データを統合して作品製作をする知識と技法を学びます。

映像制作技術論

「映像制作技術論」は映像技術の基本を身につけた人を対象とした、より発展的な授業です。映像技術の具体的な仕組みや発達の歴史を参照しながら、今後、映像がどのように変化し、社会に影響をおよぼすかを考察します。

普段どんな研究を行っていますか?

映像技術を専門としています。

19世紀の後半、映像技術が初めて登場した頃、人々は「すごい」と思いながらも、何に使ってよいものかよくわかりませんでした。テクノロジーをなんとか使いこなそうという模索の中から、徐々に新しいジャンルや表現が編み出されてきました。それは今でも続いています。「新しいものには飛びつく」というのが、映像の伝統です。技術の角度から、映像の可能性について考えていきたいと思っています。

メディア実践演習の馬場クラスではどんなことをしますか?

映像が活用できる範囲は非常に広いものの、実は映像技術が十分に活用できていない領域もあります。手軽になったとはいえ、実際に映像会社が製作するとなると一定程度の予算が必要です。また、権利関係の問題から、制作した映像を会社の商品としては扱えないという場合もあります。そのような理由から、社会的意義は認められるものの、採算が見込めず、手がけることが難しいという領域があります。

しかし、大学という環境では、そうした企業では入りづらい領域に取り組んでいくことも可能です。社会的意義がありながらも未開拓となっている領域を発見し、既存の模倣ではなく、本当に大学ならではの活動ができることを目指したいと考えています。

この記事を読んでいるアナタへのメッセージ

短くとも1400日以上の大学生活を送ることになります。大学は自由で、同じ分野に興味を持った人が集まり、本を読んだり意見を交わしたり、研究に没頭できる素晴らしい環境です。ポジションよりも知識や意見の正しさが尊重される厳しい世界でもあります。メディア学の扱う範囲は理系文系両方にわたって広く、情報の更新も速いので、入学後も学習をしつつ、数々の課題をこなさなければなりません。大変ですが、ぜひチャレンジしてみてください。

プロフィール

氏名 馬場 一幸(BABA Kazuyuki)
職位/担当分野 専任講師/メディアと表現・技術分野
専門 映像技術
担当予定授業
  • メディア技法入門
  • 映像制作演習I/Ⅱ/Ⅲ
  • 映像制作技術論
  • フレッシュマンセミナー
  • ベーシックセミナー
  • メディア基礎演習A/B
  • メディア実践演習1/2/3/4
所属学会 なし
研究内容 映画製作技術、デジタルシネマ、超高精細映像、映像アーカイブ
主な論文
  • “超高精細デジタル映像の保存と、小型映画フィルム用スキャナ装置の試作”, 映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering (780), pp.53-57, 2017年8月
  • “デジタル現像へのアナログ的アプローチ”, 映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering (768), pp.54-56, 2016年8月
  • “映画における第4世代映像技術の印象と8Kの非特異点性について”, 映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering (753), pp.25-27, 2015年5月
  • “国宝源氏物語絵巻修復の映像記録 : 8K実用の前夜”, 映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering (752), pp.29-31, 2015年4月
  • “被写界深度の計算と運用について”, 映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering (745), pp.32-37, 2014年9月
  • “超高精細映像制作環境基盤整備の紹介とアジャイル型運用の試論”, 映画テレビ技術 = The motion picture & TV engineering (738), pp.28-33, 2014年2月
  • “映画撮影における標準レンズと被写界深度について”, 映像メディア学 = Film and new media studies : 東京藝術大学大学院映像研究科紀要 3, pp.63-84, 2013年3月