メディア学部に着任予定であり、イベント学を専門とする岡星先生に、担当予定の授業やご自身の研究内容等についてお話を伺いました。

どんな授業を担当される予定ですか?

イベント概論、イベント制作・運営演習

私が担当する「イベント概論」では、「イベント」をさまざまな視点から学んでいきます。イベントとは、何でしょうか。娯楽? 気晴らし? 遊び? いえいえ、そんな軽いものではありません。イベントは、人類創生と共にあるコミュニケーションメディアです。インターネットがあるからといって、絶対無くならないものです。学校の「入学式」「卒業式」、また二十歳の「成人式」、そして「結婚式」、子供が生まれてからは「七五三」、「金婚式」…人生最後の「お葬式」。イベントを通じて、人は“人”になるのです(これを通過儀礼と言います)。

また、高校まで勉強してきた歴史の授業、その中身の多くはイベントだったのではないでしょうか。そう、人類の歴史は、イベントの歴史でもあるのです。こんな人間社会に不可欠、必要無二なイベントについて理解を深めるべく、一緒に考えてゆきます。

そして、「イベント制作・運営演習」を通して、イベントを0から企画し実現できる、イベントプロデュース人材を目指します。

イベント学は、従来の学問を統合した複合的・複層的な知識と技術を必要とする学際的なジャンルです。現代的な課題に対して、続々と新たな学問が生まれ発展しているのは知っていますよね。マーケティング学や観光学、映画学やマンガ学も、時代の要請に応じて生まれた新しい学問です。同じように「Tokyo 2020」に向けて、ますますホットなイベント学をマスターして、時代が求める“コトおこし”の人材になりましょう。

※コトおこし:かつて日本は自動車、家電、新幹線などの製造業が経済をけん引してきました。“モノづくり”先進国・日本と言われてきました。ですが、現在製造業は1/4程度となり、ほとんどはサービス産業が栄えています。サービス産業の中にはメディア業界も含まれ、イベントもその一翼を担っています。このことを、“モノづくり”から“コトおこし”の時代到来として表現したものです。

普段どんな研究を行っていますか?

日本初のイベント職能集団である「一般社団法人日本イベントプロデュース協会(=JEPC)」が設立されて30年以上が経ちます。この間、着実にイベント学の研究・構築がなされてきました。

それを私は、人類の英知の一つ“コトおこし”の知恵=イベント学としてまとめ、全体像を構築しているところです。その中には、「できない」を「できる」に変えるイベント制作法や、「今まで見たことがない」スゴいイベント発想法などが含まれています。それがどんなものか知りたくないですか? これらの知恵を使って、日本全国の地方創生や地域活性化に活かしてもらっています。

TBS系列テレビドラマ『ナポレオンの村』でも、イベントを駆使して過疎の村を元気にする話が満載でした。“イベント発想で、日本を元気に!”が研究テーマです。

メディア実践演習の岡星クラスではどんなことをしますか?

演習クラスでは、イベント知識をイベント実践へと導きます。講義でイベントの知識を自分の身に焼きつけることは当然ですが、それを実際に制作することで、より理解の促進と技術として活用できます。イベントの知識と技術は、イベント業界のみならず、あらゆるサービス業で役に立ちます。

演習テーマは、学外のイベント団体や企業、スポーツや文化の組織から求め、社会連携による課題の解決に挑みます。人を感動させることが、自分の感動! 他の学生とともに楽しく力を合わせ、社会の役に立つイベント実践を目指してください。

この記事を読んでいるアナタへのメッセージ

みなさんは、スマホや通信ゲーム、3D映像やVR(仮想現実)がフツーにあるという環境で育ってきています。そして現代進行形で、新しい技術や手法が続々と開発され、イベントと融合してきています。

プロジェクションマッピング、AR(拡張現実)、そしてMR(複合現実)、スマホによるチケットレス化やSNSによるブームづくり、AI(人工知能)やロボット技術を利用したサービスまで、イベントのカタチはどんどん進化しています。

そして、いよいよ数年後に開催が迫ってきた「Tokyo 2020」のときには、全く新しいイベントがたくさん生まれていることでしょう。

新しい時代に、新しい「イベント」…それを実現するためには、みなさんの感性と能力が必要です。目白大学でメディアとイベントを学び、これからの最先端イベントを創りましょう。

プロフィール

氏名 岡星 竜美(OKABOSHI Tatsumi)
職位/担当分野 特任教授/メディアと産業・消費分野
専門 イベント学、イベント企画、イベントプロデュース、イベントイノベーション
担当予定授業
  • メディア産業概論
  • イベント概論
  • イベントプロデュース論
  • イベント・広告プランニング特講
  • イベント制作・運営演習
  • メディア基礎演習A/B
  • メディア実践演習1/2/3/4
所属学会・団体
  • 実践経営学会(前理事、「第54回全国大会」・関東本部事務局長を歴任)
  • (一社)日本イベントプロデュース協会(全国本部副理事長/JEPCイベント総合研究所 所長)
  • (一社)日本イベント産業振興協会(認定研究員)
  • イベント学会(研究委員、「第20回研究大会」実行委員)
  • イベント業務管理士協会
  • 日本創造学会
研究内容 イベント全体のモデル構築、イベントを実行するプロジェクトマネジメント手法、イベントにおける成功評価システム、イベントイノベーションを生む企画メソッド、イベントの新しい価値“機会財”研究
主な業績
  • 地方創生シリーズ[第1弾]『地方創生に向けたGLOBAL-CEPプロデューサー-体験ツーリズムによる国際文化交流・産業雇用創生の総合演出家-』, 青山学院Hicom×博進堂プレス, 2016年(共著)
  • 『スポーツイベント・プランナー能力検定テキスト「基礎編」』, 日本スポーツツーリズム推進機構, 2016年
  • 『スポーツツーリズム・ハンドブック』, 学芸出版社, 2015年(共著)
  • 『イベントの仕事で働く』, ぺりかん社, 2015年
  • 『チカラ解き放て! スポーツイベントで社会を元気に』(スポーツイベント検定テキスト), JACE, 2011年(共著)
  • 『イベント企画の基本構造』, リベルタス・クレオ, 2010年
  • 『キラリ開眼物語~明日から企画のホープと呼ばれる本~』, 文芸社, 2009年
  • 『マーケティング・コミュニケーション大辞典(用語解説)』, 宣伝会議, 2003年
  • “イベント産業と「オリンピック・パラリンピック学」”, 国際戦略経営研究学会, 戦略経営ジャーナルVol.4, No.1, 2015年
  • “イベントの同時性と参加性の機能の研究-「パブリックビューイング」イベントの実践研究—”, 実践経営学会, 実践経営第48号, 2011年
  • “都市の新しいCivic Prideの創造イベント-開園100周年日比谷公園で新しい都市の祭りを創る-』”, JEPCイベント総合研究所, イベント研究第3号, 2010年