原ゼミの目標

 子どもも利用する様々なメディア、とりわけ情報機器は遊びや学び、そして生活の中に深く浸透しています。ところが、その機能や使い方を保護者や周りの大人が十分に理解していないことが多く、便利で役立つメディアの危険な一面だけがクローズアップされるケースが増えてきました。大人や子どもがメディアの利便性と正しい使い方を理解し、大人が安心して、子どもが安全に活用することが必要だと考えています。

そこで、身近なメディアと子どもの関わり等について調査・研究し、子ども達が適切にメディアを利活用できるようにすることや、学びの中で活用できる教材開発を行うとともに、これらの活動をとおして皆さん自身が問題解決の方法を身につけることを目指します。

ゼミの進め方

 学校では1人1台が当たり前になったタブレットやパソコンをはじめ、子どもたちを取り巻く様々なメディアに関する課題をとらえ、それらを解決するための方法や取り組みを話し合い、具体的な教材や資料等を作成しその検証を行います。例えば、子ども達が良く利用しているゲーム機に設定されている保護者設定の実態を調べ、どのようにすることがメディアを安心して使えることにつながるのかを整理し、普及の方法を計画・実施・検証することで社会に貢献することなどが考えられます。
(関連:http://www.halab.jp/parcon/

 問題解決能力や実践的な仕事力を高めることを目的として、研究会やプロジェクト等対外的な活動に参加することもあります。

3年生のゼミの取り組み例

 子供とメディア関連の商品の企画、開発、宣伝活動、営業、実際の販売活動を行います。毎年京都大学で行われるトレードフェアに参加し、2010年度から8回入賞しています。その流れを受け、今年も学生のコンテストのひとつYouth Enterpriseに、「教育用ゲーム」の出展を計画をしています。今年は、企業の指導を受けなが共同でコンテンツ開発を進め、シナリオの制作、プログラム開発、テーマ音楽、キャラクタ開発などについてグループに分かれて協同作業を進めています。取り組みの進み具合が少し遅れていますが、11月の京都大学での大会に間に合うように取り組んでいます。

先輩の卒業研究テーマ例

 「子どもとメディア」に関するこれまでの制作物や論文の例は以下のとおりです。本人の研究目的や計画が明確であり研究を自力達成できる場合は他分野のテーマを研究することも認めています。

  • 子供が正しくメディアを使うための絵本教材(絵本,2021)
  • 小学校低学年向けの教育ゲームの制作(ゲーム開発,2021)
  • SDGs(ゴール14)を理解するための子供向け WEB 教材(Web教材,2021)
  • 「シキちゃんと学ぶ 交通標識ゲーム」の開発(ゲーム開発,2020)
  • 仕事、学校の制服を描いた「制服イラスト集」の制作(イラスト,2020)
  • ネットリテラシーやSNSの使い方を学べるボードゲームの制作(ゲーム開発,2019)
  • 速さと守りを駆使して戦う2Dアクションゲームの制作(ゲーム開発,2019)
  • 日本のゴミ問題とどう向き合うかに関するノベルゲーム制作(ゲーム開発,2019)
  • セキュリティを学習するための2Dゲーム(ゲーム開発,2019)
  • オリジナル3DCGアニメーションの制作(アニメーション,2019)
  • Unityを利用した3D探索ゲームの制作(ゲーム開発,2019)
  • 子供が事件・事故から身を守るための絵本の制作(絵本,2018) 
  • 写真で学ぶ韓国語教材の制作(印刷教材,2018)
  • AR絵本「泣いた赤鬼」の制作(AR教材開発,2017)
  • 小学校低学年における国語、算数科のゲーム教材の開発(デジタル教材開発,2017)
  • 未就学児の子供を持つ親とスマートフォン(ビデオ映像制作,2017)
  • モンハン4のペアレンタルコントロール(CERO)についての検証(論文,2015)
  • イソップ童話から分かる子供向けの人生教訓絵本の制作(アニメーション,2013)
  • 若年層のインターネット利用に潜む危険性と身につけるリテラシー(論文,2013)
  • 理想的な学校教育向けタブレット端末の提案(論文,2015)
  • 布絵本「三匹のこぶた」の映像化(ビデオ教材制作,2013)
  • PSPで学ぶ、子供の防犯意識を高めるためのクイズゲーム(ゲームソフト,2011)
  • 教育補助用ロボットの動作の開発と小学校での実践・検証(論文,2009)

「子どもとメディア」関連の教材開発と卒業研究

 今年度は、次のような課題について一緒に考えながらみなさん自身の研究課題を具体化し、卒論や卒業制作としてまとめることを計画しています。

■情報モラル教育のビデオ教材の開発

 進展する情報機器を子どもたちが安心して使える環境の実現や、子ども自身が自分で判断して安全に使うためのビデオ教材の開発。これまでにも、卒業生が文部科学省や科学振興事業団の委託事業に参加・協力してきました。

教材提供サイト・・・http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1368445.htm

■卒業生がビデオ取材からHP作成までー子どもを犯罪から守るためのホームページの運営

 様々な犯罪から子どもを守る地域のボランティアの活動を支援する用語事典、ビデオ、教材などを卒業生の勤務する企業の協力を得て開発し、Webサイトで提供しています。開発から10年が経過し、メンテナンスが必要になってきています。社会技術研究開発センターの研究開発領域「犯罪からの子どもの安全」として研究開発しました。

 犯罪からの子どもの安全関連サイト・・http://www.kids-bouhan.jp

■子どもの学習を支援する机上に置ける人型ロボットの研究(足踏み中)

 近い将来、まったく新しいメディアとして子どもの勉強部屋の机上にきっとやってくるコミュニケーション・ロボットの研究。研究室に2体いますが、最近暇にしています。誰か相手をしてあげませんか?